米作りの現場から〜カメムシの越冬と稲刈り後の耕運の大切さ
2025/12/07
秋の稲刈りが終わると、田んぼは一見「休憩期間」に入ったように見えます。しかし、実はこの時期の管理が来年のお米づくりの出来を左右するとても重要なポイントになります。
その代表的な理由の一つが カメムシの越冬対策 です。
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■ 稲株はカメムシの“冬の隠れ家”になる
稲刈り後の田んぼには、刈り残された稲株がたくさんあります。
実は、この稲株の根元や株の間は、カメムシにとって絶好の越冬場所。
秋の終わり、気温が下がり始めると、カメムシは暖かく湿った場所を求めて移動し、稲株の中に潜り込み冬を越します。
そこで冬越ししたカメムシが、春になって活動開始。
やがて出穂の時期に稲の穂を吸ってしまい、 斑点米 の原因になります。
つまり、稲刈り後の管理を怠ると、来年の品質に直接ダメージが出てしまうのです。
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■ 耕運の役割:越冬場所を壊し、発生を減らす
そこで大切なのが 稲刈り後すぐの耕運。
耕運することで、
• 稲株を砕いて越冬場所をなくす
• 田面を乾かして害虫が生き残りにくくする
• 有機物を土に戻し分解を早める
といった効果があり、カメムシの越冬数を大幅に減らすことができます。
このひと手間が、翌年の「斑点米を減らす」「品質の高いお米を育てる」ことに直結します。
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■ 来年の良い米づくりは“冬前の準備”から
農業は「来年の準備を、今年の秋から始める仕事」。
稲刈り後の耕運は、まさにその象徴といえます。
冬の間に田んぼを健全な状態で休ませることで、春からの生育も大きく違ってきます。
虫も病気も、早めの対策が一番の防除。
今年も田んぼがしっかり眠れるように、丁寧な耕運作業で来年の豊作につなげていきたいものです。

